牛乳を通じたコミュニケーションのきっかけに、酪農乳業関係者の繋がりづくりに。 集めて、遊べる「ご当地牛乳トレカ」開発ストーリー
全国600種類以上の牛乳を飲んできた“牛乳マニア”であり、“牛乳をこよなく愛するグラフィックデザイナー”として牛乳の啓発活動に取り組んでいるミルクマイスター®高砂さん。牛乳パックの広告欄を活用し、切り取って集めて遊べる「ご当地牛乳トレカ」を開発しました。家庭でのコミュニケーションを生み、乳業メーカーの協働も見据えたこの取り組みは、徐々に全国へと広がりつつあります。
土日ミルクフェス2024(11月16日開催)では「土日ミルクカード」が限定配付されるなど、「土日ミルク」とのコラボも実現した「ご当地牛乳トレカ」開発の経緯について、ミルクマイスター®高砂さんにお話をうかがいました。
ミルクマイスター®高砂さん
デザイナー
株式会社SLEE PRODUCTION 代表取締役
1983年山形県寒河江市生まれ。名古屋学芸大学デザイン学科卒。広告制作会社を経て独立後、“牛乳をこよなく愛するグラフィックデザイナー”として活動。デザインやイベント、ウェブメディアなどを通じて牛乳の魅力や新たな楽しみ方をポップに発信し続ける。
公式サイト https://milkmeister.jp
公式Instagram https://www.instagram.com/milkmeister/
公式X https://x.com/milkmeister0601
牛乳パックの広告欄をトレカに!
—まずは「ご当地牛乳トレカ」について、ミルクマイスター®高砂さんからご紹介いただけますか。
ミルクマイスター®高砂さん(以下、高砂さん):「牛乳パックの広告欄にトレーディングカード(以下、トレカ)をつけてしまおう」という企画です。つけるといっても、広告欄に絵柄としてデザインするかたちなので、皆さんで切り取ってから使用していただきます。一般的なカード型と、牛乳瓶のフタ型の2タイプの絵柄を用意しています。
—牛乳のパッケージの雰囲気も活かされた、かわいらしいデザインですね。
高砂さん:カードの縁は牛乳パックの色に合わせています。また牛乳パックのイラストは、ご当地トレカに関心を持ってもらえるよう、現物よりも少しだけデフォルメしたのですが、違和感なくそのご当地牛乳の雰囲気を残せるように意識してデザインしています。
—さすが、グラフィックデザイナーである高砂さんの技が光りますね!この、トレカのアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか?
高砂さん:以前から、牛乳パックは広告媒体として魅力があると考えていました。常に家庭にあるもので、冷蔵庫を開ければ目に入るし、飲み終わればまた買ってくる。牛乳パックの広告欄を活用した企画が何かできないかなとずっと温めていたのです。
そんな思いを、淡路島牛乳さんとイベントでご一緒したときにお話ししたら、ぜひ一緒にやりましょうと言っていただいて。しかも自分たち一社でやるものではなくて、全国の乳業メーカーをはじめ、酪農乳業界全体が盛り上がるような企画を考えてもらえませんか、と提案してくださいました。
それでいくつかアイデアを出して、淡路島牛乳さんと話し合った結果として、まずは淡路島牛乳さんを第一弾として、「ご当地牛乳トレカ」を全国に広げていこうという取り組みがスタートしました。
乳業メーカーと共創して生まれた「ご当地牛乳トレカ」
—開発の過程では淡路島牛乳さんのアイデアも取り入れられたのですか?
高砂さん:はい。トレカのアイデアは私から提案しましたが、どういう構成にするかなど、ゲーム内容については淡路島牛乳さんと話し合って決めていきました。トレカとして遊べるだけでなく、ご当地牛乳それぞれの特徴を伝える簡潔な文章も入っているのですが、これも話し合いの中で加えました。日常的に飲んでいるがゆえに、かえって深く知らないこともあるので、普段飲んでくださっている方にも魅力を伝え、興味を持ってもらえるようなものにしたいねと。
また、企画当初はカード型のデザインだけだったのですが、牛乳瓶のフタ型のカードは淡路島牛乳さんのアイデアで生まれました。
—親世代にとっては懐かしく思えて、「子供の頃、集めていたんだよ」と親子で話すきっかけにもなりますよね。
高砂さん:素敵ですよね。私だけのアイデアではなく、乳業メーカーさんとの共創で生まれたプロジェクトなんです。
—「ご当地牛乳トレカ」第二弾として広島協同乳業さんの「県北搾り」も発売されています。
高砂さん:広島協同乳業さんの白砂さんはすごいアイデアマンで、牛乳パックでつくれるお面など、すでにさまざまな企画を実践していました。お話をする機会をいただいて、「ご当地牛乳トレカ」の企画をお話ししたら「ぜひうちでも」と乗っていただきました。
—今後も続いて販売が予定されているのでしょうか。
高砂さん:はい、すでに企画が進んでいる乳業メーカーさんも何社かあり、順次発表していきます。参加は常に募集していますので、ぜひ声をかけていただければ嬉しいです。販売する個数や販売時期・期間は各メーカーで自由に設定できるようにして、メーカーさんに負担がかかりすぎないように心がけています。
「カードをきっかけに全国の牛乳を飲んでみたいという方が増え、牛乳業界全体の活性につながれば嬉しい」
淡路島牛乳株式会社
代表取締役 鳥井 俊廣(とりい としひろ)さん
販売部 次長 柏木 順二(かしわぎ じゅんじ)さん
総務部総務課 兼 販売部販売課販売企画係 稲山 諒(いなやま りょう)さん
—「ご当地牛乳トレカ」開発時の思いや、カードが完成してみてのお気持ちを教えてください。
稲山さん:打合せの時に高砂さんのトレカの案を聞いて、とても良い案だと思いました。実際に紙パックが出来上がり、きれいに仕上がったカードのデザインを見て感動しました。SNS上での反応も良く、消費者の方が好感を持ってくれているのを感じます。
この取り組みが他の乳業会社様にどんどん広まってほしいです。カードをきっかけに全国の牛乳を飲んでみたいという方が増え、牛乳業界全体の活性につながれば嬉しいです。
「直感で『ぶち面白そうじゃのぅ!』と思い参加しました。牛乳の新しい楽しみ方の広がりを感じます」
広島協同乳業株式会社
酪農資材部部長 白砂 吉康(しらまさ よしやす)さん
—「ご当地牛乳トレカ」開発時の思いや、カードが完成してみてのお気持ちを教えてください。
白砂さん:高砂さんからご当地牛乳トレカデザインのお話しを伺った際、直感で「ぶち面白そうじゃのぅ!(ぶち:広島弁ですごいの意)」と感じ、参加のお誘いをいただく前に「ぜひ参加させてください!」とお願いさせていただいたように記憶しております。今回のご当地トレカデザインでは、牛乳はいつも通りおいしく飲んでいただき、飲み終わってからはカードを切り取ってお家で楽しんでいただいたり、ご当地牛乳トレカデザインを購入するために旅行がてら広島に来ていただいたりと、牛乳の新しい楽しみ方の広がりがあるのではと感じております。
とかく酪農乳業のニュースは暗い話題を取り上げられがちですが、今後も今回の様な明るくて楽しい話題を皆様に提供できれば良いと思いますし、何より酪農家の皆様の意欲を業界の皆様とともに盛り上げていければと思います。
誰もが参加できて、楽しく遊んで学べるカードの工夫
—「ご当地牛乳トレカ」開発にあたって、工夫された点、気を配った点はどんなところですか?
高砂さん:トレカとして集めるのも楽しい、遊ぶのも楽しいものになるよう、ルール作りには気を配りました。カードゲームとして遊ぶには、勝負ごとなのでどうしてもカードごとにポイントを入れる必要があります。でも、例えば50、100と数字を入れてしまうと、牛乳のおいしさや価格など、実際の製品に関わる数値と誤解される恐れもあります。そこで、数字ではなく、◯と●で表現するルールにしました。◯と●の数を逆転させて使うこともできて、柔軟な表現になっています。
また、牛乳のトレカというのも意識して、ゲームを始めるときには「いただきます」、終わるときには「ごちそうさま」と、かけ声を入れるルールにもしています。
—食育の観点も取り入れられているのですね。カードにはどんな種類があるのでしょうか。
高砂さん:牛乳パックを自社で作っていない乳業メーカーさんもありますから、「フレンドカード」という、製品に依らない共通カードも用意しています。これがあるとゲームがより盛りあがるルールになっていて、すべてのメーカーさんが参加できる仕組みになっています。
—高砂さんの活動は一貫して、人と人の繋がりを大切にしていると感じます。すべての乳業メーカーさんや、手にとる人のことを考えたデザインになっているのが素敵ですね。
「ご当地牛乳トレカ」をきっかけに、新しい牛乳ファンを増やしたい
—大人も子供も楽しめる「ご当地牛乳トレカ」ですが、どんな人に楽しんでもらいたいですか?
高砂さん:毎日飲んでいる牛乳のトレカで遊んでもらうのはもちろん、普段あまり牛乳を飲まない人にも興味を持っていただけたら嬉しいです。また、いつも飲んでいる銘柄だけでなく、違う牛乳を試してみたり、旅行に行った際にご当地牛乳を探してみたりといった楽しみも増えます。この「ご当地牛乳トレカ」をきっかけとして、新しい牛乳ファンが生まれてくれたら嬉しいです。
一番大事にしたいのは、遊びながら地元の牛乳のことを知ってもらうことですね。「この牛乳、こんな昔からあるんだ」「こういう酪農家さんが関わって生まれた牛乳なんだな」と、食に対する興味が自然と入ってくるのが理想です。
—「楽しみながら学ぶ」という視点は、土日ミルクと同じですね。
高砂さん:そうですね、同じ思いで活動しているなと、私も思います。「学ぶ=勉強する」と固く考えるのではなく、おいしい、楽しい、ワクワク、そういう思いを提供していきたいです。
—今後取り組んでいきたいことなどもお聞かせください。
高砂さん:まずはこの「ご当地牛乳トレカ」にたくさんの乳業メーカーさんにご参加いただいて、盛り上げていきたいなと第一に考えています。もっと参加メーカーさんが増えていったら、全国キャラバンでトレカ大会も開催していきたいですね。乳業メーカーさん同士や、酪農乳業関係者の皆さんと消費者の方の交流の場に活用いただけるといいなと考えています。
「土日ミルク」も、多くの酪農乳業界の皆さんが一緒に取り組む形になってきていますよね。そういう繋がりをより強く、さらに広げていき、みんな一丸となってこの業界を盛り上げていってほしいと思います。私もその一員として、楽しみながら牛乳の魅力を伝えていきたいですね。
【3ターン勝負!「ご当地牛乳トレカ」の遊び方】
① 4枚のカードを裏向きに並べる。◯●どちらのポイントを使うかあらかじめ決めておく。
② 「いただきます」のかけ声でスタート!
③ お互いのカードをめくってポイント勝負。2ターン先取したほうが勝ち。
④ ゲームが終わったら「ごちそうさま」のかけ声で締めます。
※ゲームルールの詳細は、「ご当地牛乳トレカ」公式サイトにてご確認ください。
カードの種類
① ミルクカード:ご当地牛乳(コーヒーなど乳飲料も含む)が描かれたカード。メインで使用するカード。
② フタカード:牛乳瓶のフタを模した円形カード。ポイントの強弱を決めるルールなどで使用されるカード。
③ フレンドカード:ミルクカードを強化するカード。各乳業メーカーのキャラクターやご当地キャラクターなどが描かれている。
【イベント限定!!「土日ミルクフェス 2024」に“土日ミルクカード”が登場!】
2024年11月16日に豊洲公園 花木とモニュメント広場で開催される「土日ミルクフェス 2024」では、特別なフレンドカード「土日ミルクカード」が登場します。このカードは、高砂さんの出展ブースにて配付され、デザインや効果などすべて当日限定のカードとなっています。
「土日ミルクカード」は、休日(土・日・祝日)のみ使用可です。いずれかのミルクカードが負けた時に、「土日ミルク!」と言うと自分のポイントに+4にして、もう一度バトルすることができるカードです。
イベントに参加することでしか手に入らない貴重なカードですので、ぜひ入手してみてください!
「土日ミルクフェス 2024」公式サイトは「コチラ」