牛乳を通じたコミュニケーションのきっかけに、酪農乳業関係者の繋がりづくりに。 集めて、遊べる「ご当地牛乳トレカ」開発ストーリー
「ご当地牛乳トレカ」を開発したミルクマイスター®高砂さんに、その経緯や想いを取材しました。
Interview2024.11.14食卓に新鮮でおいしい国産の牛乳や乳製品を安定してお届けするために、牛乳・乳製品の販売のほか全国の生乳の需給バランス調整や酪農生産支援などにも取り組んでいる全国農業協同組合連合会(JA全農)酪農部。2024年6月、牛乳の消費喚起や酪農の理解醸成を目的に、JA東京アグリパークで全国11種類のご当地牛乳・乳飲料の飲み比べイベントを、2023年度に続き今年も開催しました。
当日は、「土日ミルク」のポスターと30日間牛乳飲もうシール&リーフレット、「土日ミルクランチョンシート」のデータを活用したオリジナルレシピ紙、大人&子ども向けアンケートボード「休日に牛乳、飲んでますか?」、酪農家クイズ(①仔牛の重さは? ②牛1頭1日あたりの生乳量を1Lの牛乳パックに換算すると?)など、多くの資材を活用いただきました。
また、学校栄養士の先生について勉強できるクイズコンテンツ「ミルクのケビンと学ぼう!」も放映され、子どもたちが牛乳・乳製品の栄養や健康などについて楽しく学んでいる様子も見られました。
写真左より、柳内さん、寺崎さん、井田さん、松本さん
井田さん(JA全農 酪農部総合課 生乳流通対策室)
「昨年の土日ミルクフェスではたくさんのミルクファンの方が集まってくださって。酪農家さんや、今回のミルクマイスター®高砂さん、牛写真家の高田千鶴さんなど協力してくださる方もいらっしゃいます。また業界関係者が一丸となって一つのイベントに向かうというのはなかなかない体験で、いい結束を感じることができました。今回のイベントでは、そのご縁で高田さんの講演も実現し、土日ミルクのツールもフル活用させていただきました」
松本さん(JA全農 酪農部総合課 生乳流通対策室)
「酪農家さんとお話しする中で、酪農家の皆さんが持っている情熱をとても強く感じます。その熱意を受けて自分自身も、より多くの方に酪農のことを知ってほしい、牛乳を飲んでいただきたいという思いを強くしています。
私自身も小さいころから牛乳を飲んで育ってきました。子どものころの習慣は大人になっても続くものだと思いますので、からだづくりも考えて、家庭でたくさん牛乳を飲んでほしいですね。土日ミルクの教材はお子さんたちの反応がすごくいいなと、イベントに参加するたびに思います。酪農家さんとの交流や牛乳・乳製品のとりかたアイデアまで、幅広いツールがあるのはとても効果的だと思います」
寺崎さん(JA全農 酪農部 事業体制整備課)
「私は牛乳・乳製品って面白いな、と思っています。コップ1杯の牛乳だけでなく、バター、それにアイスやプリンといったお菓子など、いろいろな食べものに活用できていろんな可能性がある。その魅力をどんどん発信して消費者の皆さんに伝えていきたいと考えています。
土日ミルクはすごく素敵なコンセプトだと思います。牛乳・乳製品にまつわるさまざまな団体が協力して、各種イベントの中で土日ミルクの考えを伝えていきたいですね」
柳内さん(JA全農 酪農部 事業体制整備課)
「今日のイベントでも来場者の皆さんにお話をうかがう中、『毎日農協牛乳買ってます、この価格以上でも買いますよ』という声もいただきました。新鮮でおいしい牛乳を届けたい
と思う私たちや酪農家さんの思いが伝わっているんだなと嬉しくなりました。酪農家さんも聞いたら喜ぶと思います。
酪農乳業は、競合など関係なく、生産者も乳業メーカーも一丸となって消費者の皆さんに向き合っている希有な業界だなと感じます。土日ミルクも、これを一つの共通キーワードにして、いろいろな関係者に声をかけて協働で牛乳・乳製品の魅力を伝えていくことができます。そういう意味でもとてもいい取り組みだと思っています」
写真左より、赤石さん、幸阪さん、伊藤さん、大谷さん
赤石 道也さん(協同乳業 事業開発部)
「協同乳業ではここ数年、酪農家さんとともに牛乳・乳製品の魅力を広めていく活動に力を入れています。牛乳を買ってもらえることが、酪農家さんの喜びにつながることを実感できる機会も増えてきて、非常にやりがいを感じます。
土日ミルクは短い言葉でわかりやすく印象づけられて、ロゴなども含めて親近感があっていいですね。業界全体を盛り上げて、牛乳飲もうよ!という行動を世の中に広めていくのに活用していきたいです」
伊藤 万織さん(協同乳業 酪農資材部)
「カルシウムなど栄養のお話も大事なんですが、一方でまずは気軽においしく飲んでもらうためにいろいろなアイデアを伝えていきたいなと思っています。昨年の土日ミルクフェスで農協牛乳+カルピスのドリンクをお配りしたときに、お子さんはじめ多くの方が喜んで飲んでくださったのを見て、いろいろな組み合わせが牛乳に付加価値をつけるんだなと実感しました。
今回のようなイベントは、私たちにとって消費者の皆さん、そして酪農家の方々ともつながれる良い機会です。土日ミルクのツールもうまく活用して、酪農家さんと一緒に盛り上げていきたいですね」
幸阪 日菜子さん(協同乳業 事業開発部)
「イベントを通して直接消費者の皆さんと関わることができて、『アイスおいしくできました!』『いつも牛乳飲んでますよ』と声をかけていただけると、自分の仕事がこうしてちゃんとつながっていくんだなと嬉しく思います。この繋がりを大切にしていきたいですね」
大谷 俊介さん(協同乳業 事業開発部)
「こういったイベントでお子さんが牛乳を飲んで嬉しそうにしている様子を見て、親御さんも、牛乳買おうかな、という気持ちになっていただける機会になったらすごく嬉しいです。今日のイベントは新宿で開催しましたが、東京以外にも全国いろいろな地域で、もっと小さい規模でもいいのでこういった活動を拡げていけるといいなと思います」
全国11種類のご当地牛乳を飲み比べ。産地、製法により異なる牛乳の味や特徴を、飲み比べを通じて楽しんでもらいました。
全農が監修したカプセルトイ「ご当地牛乳コレクション」第2弾の全国発売(7月25日予定)に先駆け、本イベントで先行発売。飲み比べの牛乳は第1~2弾の牛乳の種類と合わせている。
「牛乳の味が好き。飲み比べは佐渡の牛乳がおいしかった!」
お子さん「牛乳の好きなところは、甘いところ!」
お子さん「味が濃くておいしかった~!」
牛写真家の高田千鶴さんの著書『牛がおしえてくれたこと(出版社:緑書房)』の出版を記念し、高田さんのトークショーを開催。高田さんが撮影した写真を投影しながら、本に込めた想いを語りました。
高田さん「私自身もですが、子どもがすごく牛乳好きで。小学校のときには給食の時間に牛乳を2本飲んで、1本余るストローを筆箱にたくさん貯めてました(笑)。
その息子が“レバーを食べる会”というイベントに呼んでもらって、お肉の塊になった姿を見て、『かわいそう』とひと言つぶやいたんですね。これでお肉を食べられなくなってもしかたないな、と思いながら見守っていたら、『命を奪ったんだから、大事に全部食べよう』と。誰に言われるでもなく自分で答えを出した息子を見て、子どもはすごいなと思いました。私は高校で酪農について学びましたが、もっと小さい子どものうちから、牛や動物に触れあうことは大切だと思います。
私たちがおいしい牛乳を飲めるのは牛と酪農家さんのおかげ。感謝の気持ちをできるだけ伝えたいと思いながら活動しています。子どもたちが大きくなってまた子どもを産んで、その子どもたちがまた、牛と触れあう経験をして何か思いが生まれればいいなと。未来につなげていけるように、私たち自身も牛乳を飲んでいきたいなと思っています」
イベントにはミルクマイスター®高砂さんがゲスト参加。味の比較チャート図と特徴のコメントをそれぞれの牛乳・乳飲料に展示して紹介しました。
高砂さん
「私自身、小さい頃から牛乳のない生活は考えられないというくらい牛乳が大好きで。牛乳が三番目の親だと思っています。栄養豊富だし、飲むと気持ちも落ち着く。やすらぎを与えてくれる、なくてはならない飲み物です。
牛乳は気軽にごくごく飲めるおいしさも魅力ですし、シリアルにかけたり、何かに混ぜたりといろいろな楽しみ方ができるのも特徴です。たとえばリンゴジュースと合わせると意外においしいんですよ。割合によっても味わいが変わって、ヨーグルトっぽくなるのがいいという方も。自分に合う飲み方を探してもらえるといいと思います。
土日ミルクの取り組みは、言葉もいいですし、ロゴなど目に見える形で伝えることができるのがすごく好感です。この取り組みを通じて土日に牛乳を飲む習慣が少しでも大きく広がっていくといいなと思います。私は土日ミルク食堂と土日ミルクフェスのイベントなどに参加して、酪農家さんや乳業メーカーさんをはじめ、酪農乳業の様々な団体・企業の方とつながる機会をいただいて。今までとはちょっと違う動きが生まれてきたのがとてもありがたく、楽しいですね」
写真左より、関さん、長崎さん
会場3階では2名の酪農家を招き「酪農家とのアイスクリームづくり体験」を開催。同じフロアで土日ミルクの酪農クイズや「休日に牛乳、飲んでますか?」のアンケート等も実施され、酪農や牛乳について楽しく学ぶ場となりました。
関 千鶴さん(群馬県・関牧場)
関さん「コロナ禍を経て酪農の状況は不振が続き、消費者の皆さんへの理解醸成の重要性はますます高まってきています。今後もこういった活動を通じて、酪農家をもっともっと身近に感じていただけるように私たちも努力していきたいなと考えています。
酪農家は日々、おいしい牛乳を届けたいと熱い想いを持って酪農に取り組んでいます。それを消費者の皆さんに伝えないのはもったいないなと。消費者の皆さんの声も酪農家に届くような広がりができたらいいなと思います。
今回もお客さんから『がんばってください』など声をかけていただいて。直接そんな言葉が聞けることは普段ほとんどないので、うれしい気持ちとともに生乳をお届けする責任感も感じています。
乳価の上昇などがあっても変わらず牛乳を飲んでくれる方がいるというのはありがたいですね。消費者と乳業メーカーと酪農家、業界全体が一緒になって盛り上げていけたら、より強い日本の酪農文化ができるのではないかと思います」
長﨑 清子さん(千葉県・株式会社加茂牧場)
長崎さん「今日は新宿という都会にたくさんのお客さんが集まってくださいました。こういう場に来て『牛乳、毎日飲んでます』『うちの子、牛乳しか飲まないんですよ』など、消費者の皆さんのお話をきけるのが本当に嬉しくて。明日からまたがんばろう、と思います。
牧場やイベントの後、牛乳に対するイメージや思いが変わることもあるようです。学校の先生から『普段牛乳を残す子が今日は全部飲みました』など報告をいただくこともあります。そう思うと、もっと牛と酪農家が消費者の皆さんと接する機会が増えるといいですね。今回の牛乳月間や土日ミルクといったイベントやキャンペーンは、酪農関係者はもちろん消費者の方もたくさんSNSでフォローしてつながっているのを見ました。これからも、普段は牛舎の仕事をとにかく一生懸命やって、こうやって消費者の方とつながれる取組にもどんどん参加して、牛も、この場所も守れるようにがんばっていきたいです」
お母様「こういう体験、牧場とかに行くとできますけど、新宿でできるなんてなかなかないですよね」
お子さん「牛乳は好き。おやつのときに飲むよ」
お子さん「牛乳は幼稚園でも飲んでる。味が全部好き」
お父様「僕も牛乳好きなんで、何も混ぜずそのままコップでよく飲んでますよ」
東京・新宿で全国各地の牛乳を試し飲みできるイベントで、都内近郊から約1,500名が来場。お客さまはそれぞれに個性の違う牛乳のおいしさを味わい、牛乳からできるアイスクリームの手作り体験など、さまざまな催しを楽しんでいました。酪農家や牛乳・乳製品を愛するゲストとの交流など、土日ミルクの活動でつながった人の輪も感じられたことに加えて、土日ミルクの各種ツールもフル活用していただき、牛乳・乳製品の多彩な魅力が広がるイベントとなりました。