~ミルクの国とちぎ~「栃木県産の牛乳を飲もう」×「土日ミルク」
本州1位の生乳生産量を誇る栃木県。栃木県牛乳普及協会は、県内での牛乳消費拡大活動の一環として、11月1日に宇都宮市で開催された「とちぎ食と農 魅力発見フェア2025」に「ミルクの国とちぎ『土日ミルク!!』栃木県牛乳普及協会」として出展。ブースの装飾からコンテンツに至るまで、『土日ミルク』の活動を参考に施策を実施しました。
同協会のPR活動に込めた思いをはじめ、イベント出展の感想、これからの展望などについてお聞きしました。


九州の酪農と牛乳の魅力を体験できるイベント『ハッピーミルクフェスタin福岡2025』。さまざまな体験型コンテンツが用意され、多くの来場者でにぎわったこのイベントでは、『土日ミルク』を参考にしたコンテンツが数多く活用されました。
イベント開催に込められた想い、『土日ミルク』コンテンツに対する見解、そしてこれからの展望などについて、主催者の皆さまにお話を伺いました。
【今回の土日ミルクを創るヒト】
九州生乳販売農業協同組合連合会
中村 隆馬(なかむら りゅうま)さん/代表理事会長
稗島 喜美男(ひえしま きみお)さん/代表理事常務
大久保 誠太郎(おおくぼ せいたろう)さん/販売部 次長
原田 智文(はらだ ともふみ)さん/販売部
下大園 仁香(しもおおぞの みか)さん/販売部
工藤 利江(くどう としえ)さん/販売部
【記事のポイント】
・来場者の滞在時間を増やすため、「楽しんでもらえるイベント」に転換
・『土日ミルク』を参考に数々の「楽しめるコンテンツ」を開発
・スポーツ協賛やイベント開催など、九州ならではの独自性の高い施策を実施
・生産者に応えるため、九州全体での消費拡大を目的として活動
・異業種とのコラボレーションや、活動による波及効果のこれからに期待
【活用した土日ミルクコンテンツ】
・土日ミルク イベント活用ツール
└牛のエサ展示
牛さんクイズ
学校栄養士の先生クイズ
牛乳売り場のPOP制作
カルシウム200+コップづくり!
牛乳の飲み食べ比べ「オノマトペで表現してみよう」
・週刊土日ミルク2025 | 土日ミルク
└パネル展示
牛乳の試飲をはじめ、クイズ大会、模擬牛による搾乳体験や哺乳体験など、体験型コンテンツを中心に展開するハッピーミルクフェスタ。しかし、10年以上前の開催当初は現在とは異なる形で実施されていました。
「最初はタレントを招いてのトークやサンプリングがメインでした。搾乳体験や試飲はありましたが、楽しめるコンテンツがまだ少なく、来場者の滞在時間も短かったですね」
そう語るのはイベントを主催する九州生乳販売農業協同組合連合会(九州生乳販連)の大久保さんです。転機が訪れたのは、コロナ禍が明けてからのことだと言います。
「共催していたラジオ局が撤退されたことをきっかけに、ハッピーミルクフェスタの方向性を『来た人に楽しんでもらえるイベント』に大きく転換することにしました。そこでもっと来場者が楽しめるものを探していた時、『土日ミルク』の存在を知り、担当の方にお話を伺ったところ、求めていたコンテンツが数多く展開されていることがわかりました。それ以来、参考にさせていただいています」
ハッピーミルクフェスタの会場には、『土日ミルク』ロゴ入り風船やオリジナル牛乳コップ作り、漫画「週刊土日ミルク」、牛のエサ展示、牛さんクイズなど『土日ミルク』を参考にしたコンテンツがずらり。
中でも大久保さんが特に感心したのは、試飲した牛乳の味に当てはまるオノマトペ(擬音語・擬態語等)にシールで投票する「牛乳の飲み比べ『オノマトペで表現してみよう』」だそうです。
「この方法だと、自分が感じた味に投票することでただ飲むだけより味わい方が少し変わるのが優れていると思います。また、ランキング形式にしてしまうと1位以外のメーカー様に嫌な思いをさせてしまいますが、オノマトペは『あっさり』『まろやか』などの感想なので誰も傷つけません。よく考えられている企画だと思います」
会場を見渡すと、赤や黄、緑など色とりどりの作業服の子供たちの姿もちらほら。まるで小さな酪農家さながらの子どもたちが夢中になってコンテンツに取り組む姿に、周囲の大人たちは自然と笑顔で見守ります。
「『土日ミルクフェス』で見かけて、ぜひ取り入れたいと思い、代理店さんと一緒に制作しました。もちろん、無料で貸し出しています」
さらに会場ステージでは、タレントのゴリけんさんと三角英恵さんをMCに迎え、トークショーやクイズ大会、牛の鳴き声選手権なども開催。ご家族連れをはじめ、多くの来場者が笑顔で楽しい時間を過ごしていました。
大型イベント「ハッピーミルクフェスタ」を毎年開催する九州生乳販連ですが、活動はこれだけにとどまりません。
九州の牛乳と酪農への理解醸成を目的に、新聞広告を毎年出稿。6月には、牛乳を飲んだときにできる「ヒゲ」の写真をSNSに投稿する「牛乳ヒゲコンテスト」と、お父さんと一緒に牛乳を飲む姿をSNSに投稿する「父の日には乳(ちち)を贈ろうキャンペーン」を同時開催しました。「牛乳ヒゲコンテスト」では、投稿数を伸ばすために担当の大久保さん自ら被り物をして出演したと言います。
春には福岡ソフトバンクホークスの試合に協賛し、試合中にビジョン広告でオリジナルキャラクター「ミルとミク」が登場する動画を放映してPRも実施しています。
ミクは8歳の明るく元気な女の子で、ミルはミクになついている愛らしい子牛です。温かみのある優しいタッチで描かれたアニメキャラクターですが、誕生の背景にはとても厳しい状況がありました。
「牛乳がどうしても消費されなくて、消費に見合った生産の取り組みが2年続いたことがあります。九州では、それより前から『牛乳が泣いています』といった危機感を煽るような広告の出稿も実施していたのですが、そういった内容よりも前向きになれるメッセージを消費者の方にお届けしたいという思いから、ミルとミクは生まれたと聞いています」(大久保さん)
他の地域ではあまり実施されることのない、独自性の高い活動を精力的に行う理由について、大久保さんは次のように語ります。
「私たちは九州全体として牛乳の消費量を拡大するための取り組みを行う必要があります。各県でもそれぞれ取り組みをされていますので、同じことをしても意味がありません。少し視点を変えた施策が多い理由はそうした背景があるからです」
さらに、大久保さんは活動に込められた想いについても語ります。
「九州は生産量に対して消費量が少ない地域です。それがとても悔しくて…。酪農業界には『販売なくして、生産なし』という言葉がありますが、九州各県の酪農家の皆さんは懸命に生産に取り組んでいらっしゃいます。消費拡大の役割を担う私たちも、しっかりと結果を出していかなければならない立場にあるのです」
強い思いを持って精力的に活動を続けている中で、結果を出し始めつつあるものもあると言います。それが他業種とのコラボレーションです。
「AGFさん、カルピスさんとは、私の前任者がハッピーミルクフェスタを担当していた時代から一緒に活動していました。少し異なる業界ではリョーユーパンさんやカルビーさんともコラボレーションしています。きっかけはハッピーミルクフェスタだけではありませんが、牛乳に関わるさまざまな企業様と協力して消費を増やしていく。そうした流れをこれから作ることができればと考えています。そのためには『牛乳でスマイル』プロジェクトをどのように取り入れていくかが重要だと思っています」(大久保さん)
さらに、ハッピーミルクフェスタの開催そのものにも、波及効果があると大久保さんは言います。
「2年前に鹿児島で開催したところ、鹿児島県酪農業協同組合さんが『面白い取り組みですね』と評価してくださり、独自でイベントを開催してくださるようになりました。宮崎県に至っては、JAみやざきさんがコロナ禍以前から同様の独自イベントを開催してくださっています。このようにハッピーミルクフェスタが各地に広がり、九州全体で牛乳の消費量拡大を推進していければと考えています」
酪農家は現在、非常に厳しい経営環境に置かれています。このままでは酪農家として経営を続けることが困難なほどの厳しさです。そのため、乳業メーカー様にご協力いただき、これまで3度の生乳取引価格の改定を実施していただきました。現状では酪農家の経営はどうにか持ちこたえられるレベルにまで改善したように思われます。
しかしながら、値上げによって残念ながら牛乳の買い控えが起きているのも事実です。この状況を改善するために、九州では「ハッピーミルクフェスタ」のような牛乳の消費拡大を目的としたイベントをできる限り多く実施するよう努めています。
イベントを通じて、消費者の皆様には、牛乳の美味しさや価値はもちろん、価格についてもご理解いただき、今後もさらに牛乳を飲んでいただければ幸いです。
また、九州は生産量に比べて消費量が少ない地域のため、九州以外の地域に生乳を出荷することが多く、どうしても輸送費用がかかってしまいます。九州内の牛乳消費量を増やすことで、地域外への輸送費用を抑え、その分を酪農家の皆さんに還元することが重要だと考えています。そのためにも、九州の牛乳消費量拡大を目指したイベントなどはこれからも積極的に実施してまいります。